森鴎外記念館 探訪


先日、都内に出た際、かねてより訪れたかった文京区の森鴎外記念館へ立ち寄りました

 

建物を観に行くことが主目的になっているので、一通り外壁のレンガの風合いやアプローチ、配置計画、ステンレス板ルーバーを確認して中に入りました

 

正直、森鴎外についての知識は、明治の文豪、軍医総監ぐらいしかなく、『舞姫』を高校生時代に読んだという程度です

 

漱石と比べて、作風が比較的暗かったなぁ、といった印象です

 

東京湾が見えたという自邸「観潮楼」の模型

 

アプローチの具合や、単体建物同士の関係性が見えて、やはり模型は面白いですね、ついつい目が行きます

 


面白かったのが、作家・平野啓一郎さんの鴎外についての解説でした

 

平野さんの説明では、鴎外が繰り返し小説の中で描いていたのは、「自分の力が及ぶことには限界がある」という事ではないか・・・と

 

『舞姫』や『高瀬舟』では、どうしようもない決断を不本意にも選ぶことになります

 

鴎外自身、本願の医学者としてではなく、軍医として名声を得ました

これについて、晩年に『空車』という己自身を投影した短編をまとめています

 

つまり、大きな車にはなったが、カラッポだと

 

しかし、自然の脅威を受けた3.11以降、改めて鴎外を読み返してみると、不思議な程、そこには癒しに似たものがあるというのです

 

単純に、上手く割り切れないながらも、これを知り、何を思うか