人工的インスピレーション

設計の仕事を進めていると、ウンウン悩んで迷路に入ったような膠着状態に陥ることがあります。

 

文豪、夏目漱石も似たように悩んでいたそうです。

 

元慶大教授の小泉信三・著のエッセイ集『平生の心がけ』を読んだ際、そのくだりがありました。

  

「人工的インスピレーション」というセンテンスです。

  

漱石はアイデアが煮詰まったり、書く気がまったく起きない時、他人の作品を読むそうです。

 

読んでいるうちに作品に引っ張られる様に、自分の中に書きたい気持ちがムクムク大きくなるといいます。

モチベーションを上げる「とっかかり」なのでしょう。

 

悩みは文豪も同じだと知り、少し親近感がわきました。

 

衝動を大切にする。とにかく始める。きっかけをつくる。糸口をみつける。

それがあくまでも能動的、人工的なところが面白い。

 

凡庸なファーストスケッチでも恥ずかしがってはいけない。

手と頭と目玉の思考を先へ進めるのだ。

 

凡人は量をこなすしかない。

一瞬の閃きを捕まえる作業。

 

これが設計の醍醐味でもあります。